バブルの崩壊? それでも高い日本産高級ウイスキー
スコッチウイスキー、アメリカンウイスキー、カナディアンウイスキー、アイリッシュウイスキーなど世界的に人気のウイスキーに並び「世界5大ウイスキー」に数えられるようになった「ジャパニーズウイスキー」。
今回は2次流通市場で価格高騰が続いていた高級「ジャパニーズウイスキー」のバブルがはじけて一段落したように見えますが、さて今後はどうなるんでしょうか、というテーマでお話しさせていただきます。
そもそもななぜ国産ウイスキーの2次流通価格が爆上がりしたのか
時系列でみると、日本のウイスキーは2000年代に入って以降、海外の権威ある賞や品評会で高い評価を受けることが多くなり、賞レースの常連となるにつれ世界的に名声が高まっていったという経緯があります。
国内に目を向けると、2014～2015年にかけて放映され一大ブームになったNHKの連続テレビ小説「マッサン」（ニッカウヰスキーの創業者･竹鶴政孝とその妻リタの夫婦愛を描いた人情喜劇）の影響も見逃せません。徐々に日本での需要も供給を上回るようになり、人気はどんどん過熱していきます。
2020年から世界を襲ったパンデミック、コロナ禍でさらに投資・投機目的の購入が激増しました。とりわけ中国でのジャパニーズ・ウイスキーの人気は非常に高く、日本まで直接買い付けに来て爆買いするバイヤーたちの動きもありました。
国産ウイスキーの海外への輸出額は、2013年は40億円を少し切るくらいの額でしたが、2020年には270億円を超え、高騰相場のピークといわれている2022年には驚異の560億円突破となります。この年の6月にはサントリー長期熟成シングルモルトウイスキー「山崎55年」がオークションの大手サザビーズで競売にかけられ、60万ドル（約8100万円）で落札されるという事件級の出来事がありました。
狂乱相場を牽引した2大メーカー
「山崎」「響」「白州」でおなじみのサントリーや「竹鶴」「余市」「宮城峡」で知られるニッカウイスキーが2大メーカーとして流通市場を賑わせてきました。2大メーカー以外でも埼玉県の秩父市に蒸留所を置くベンチャーウイスキーから販売されている「イチローズモルト」などが有名ですね。
サントリー「山崎」「響」、ニッカ「竹鶴」「余市」など入手困難なウイスキーは百貨店、スーパー、酒屋等での抽選販売制が一般的になっています。こうした商品がオークションや中古ショップといった2次流通市場でプレ値がついて取引されています。原酒不足も手伝いただでさえ出回っていない人気の国産ウイスキーは一般庶民にとっては高値の花。そんな流れが2024年に転機を迎えることになります。
サントリーのプレミアウイスキーの価格改定、つまり値上げ
「2024年の4月に山崎や響が値上がりするぞ」と、いち早く情報を察知した向きは、2023年の終盤あたりから、いわゆる中古の高級ウイスキーの買い占めに奔走、それは取引価格に見事に反映されていました。国内最大手のオークション相場検索サイト「オークファン」がまとめた「山崎18年」の価格動向をみると10万円を割り込んでいたものが2024年4月まで価格はどんどん上昇を続け驚異の13万6000円に達しました。2024年4月1日に5ブランド19品目の値上げを実施する前の「山崎18年」の税込み定価は、35,200円（改定後 60,500円）だったことを考えると異常としか言えない事態です。そして、まるでシナリオが決まっていたかのように2024年5月から流通価格は下落していきます。（つづく）
【質屋かんてい局金沢久安店】
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