【 かんてい局 新潟上越店 】

本日は上越市内からお越しのお客様より、源伯鳳造 水本焼 蛸引包丁をお買取りさせていただきました。

蛸引(たこひき)包丁とは刺身包丁の一種で、みねと刃が平行で、根元から先端まで同じ幅になったものをいいます。

家庭用の万能包丁と違って先端がとがっておらず、大きなカミソリに似た細い長方形にの形状をしていて、全体に薄く作られているのが特徴です。

「蛸引」という名前ではありますが、タコ料理専用というわけではなく、刺身全般に使われます。ではなぜ蛸引という名前なのかというと、正確な由来は分かっていないのですが、よく聞くのは「タコの足を切りやすいように作られたから」という説です。タコ専用ではないものの、元々蛸に関係して生まれた包丁なのかもしれませんね。

さて、現在では刺身包丁というと、刃渡りが長く細身で先端のとがった柳葉包丁が全行的に使用れていますが、元々は柳葉包丁は関西で、蛸引包丁は関東で使われていたそうです。

どちらもお刺身を作るための包丁ですが、得意なことは違っていて、蛸引は薄くスライスする「薄造り」や、寒天・ゼラチンなどで固めた「流し物」の取り分けが、柳葉はサクの切り分けや刃先を使った細工が、それぞれ得意です。

今回お買取りさせていただいた蛸引包丁は特注品だそうで、お客様のお話では「これは水本焼で作ってもらったものだから、届くまで時間がすごくかかっちゃったんだよね、でもすごくよく切れるはずだよ」とのことでした。

「水本焼」というのは焼入時の冷却に水を使うものを言います。熱く熱した鉄を水で一気に冷却することで鋭く繊細な切れ味が出ると言われます。

製作には高い技術と職人の勘が必要で、熟練の職人さんでも10本作るうちの何本かは割ってしまうほど作るのが難しいそうです。

加えて、現在水本焼を製作できる職人さんが少なくなってしまったこともあり、水本焼の包丁は料理人憧れの逸品なのだそうです。

こちらや製法だけでなく、刃長や厚み、柄の材質などもこだわりが反映された造りになっていて、二つとないお品物となっています。

そんなこだわりの詰まった包丁ですが、残念なことに事情が重なって使わずじまいになってしまったそうで、届いたときに箱から出して品物の確認はしたものの、全くの未使用で保管していたとのお話でした。

実際お品物を確認しましたが、サビや刃こぼれはもちろん、柄や鞘も傷なく非常にきれいな状態でした。

また、「源伯鳳」銘の包丁は中古市場でも人気が高いということで、今回は20,000円でお買取りさせていただきました。

かんてい局上越店では、和包丁をはじめ、蕎麦打ち用のこね鉢、盛り桶など、調理器具のお買取りも行っています！

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