文字盤に『FINE GOLD』と書かれている時計を分解!金としての価値はあるのか?【かんてい局 新潟上越店】
【 かんてい局 新潟上越店 】
『ゴールド』を意味する刻印がある時計の正体を確かめよう第3弾です!
当店のホームページではこれまでにも2回、金の素材が埋め込まれている時計について紹介してきました。
簡単にご説明すると「世の中には文字盤に金のインゴットやコインが埋め込まれている時計があります。ですがこのインゴットやコイン、実は本来あるべき重量がないんです!」という内容でした。
そして今回検証する時計も、どうやら金素材が使われているようなのですが、実際「売る」となった時どれくらいの価値があるのでしょうか?
一時の金相場超高騰化をニュースなどで金の魅力に気付いて、「金が使われているアイテムを買ってみようかな~」と思ったりしている方には特にご確認いただきたい内容となっていますので、ぜひご覧ください!
⇩お気軽にご質問下さい
文字盤に「FINE GOLD」と書いてある時計
こちらの時計は筆者の手元に来た時には既にベルトは無く、時計本体も全く動かないジャンクの状態でした。
それでも外観は比較的キレイな状態で、姿かたちを確認している際、真っ先に目に入ってきたのは文字盤の中央に書かれている「FINE GOLD 999.9」の文字でした。
一般的にこの文字は対象が「純金製」であることを示すものです。ということは、素直に受け取れば「この時計には純金が使われている」ということになりますが、実際のお買取りではどれくらい金としての価値があるのでしょうか?
⇩買取価格を知りたい方はこちらから
分解してみる
金の価値はその純度(品位)と重さで決まります。
今回の場合純度は表記されていたので、要確認すべきは”どれだけの重量の金が使われているか”という点になります。
検証のため、サクサクと時計を分解していきます。専用の道具を使って、とりあえず大きく時計のケース、裏蓋、中の機械の3つに分割できました。
このうちケースと裏蓋は色や手に持った感じから、金ではなく普通の金属であろうと予想できました。実際、この2つにはどこにも金製であることを示す刻印はありませんでした。やはり金が使われているのは文字のある文字盤の部分なのでしょうか。
そのまま不要な時計の機械も取り外して、文字盤だけになったパーツを確認してみます。
よく見てみると文字盤は中央の部分とインデックスのある周りの部分でさらに分けることができるようなので、慎重に取り外してみたのがこちら。
どちらも金色をしているので、まずは大きいインデックスが付いている土台の方のパーツをよく見てみます。
…うーん、見た感じどうやらこの土台のパーツも素材は金ではないようです。
念のため専用の薬剤を使用して確認してみましたが、結果はやはり「金ではない」となってしまいました。
となると最後の望みは「FINE GOLD 999.9」の文字が書かれている中央のパーツ。
先にサイズを測ってみると直径は約10mm、厚さは0.2mmと非常に小さくて薄いです。同時に重さも量ろうとしたのですが、軽すぎで小物用のスケールでも量ることはできませんでした。
“重さがない”という時点で買取目線での金としての価値は絶望的になってしまったわけですが、くじけずにさらによく見てみます。
すると肉眼で見ると分かりづらいのですが、表面に書かれている文字が若干浮いていうように見えるのが気になりました。そこでルーペを使ってプレートの端の断面を撮影してみると、どうやらこのパーツは3つの層で出来ているのが分かりました。
そこから推測するに、おそらくこのパーツは真ん中にある薄い金箔のようなものをプラスチックの板でプレスして作られているのでしょう。
図にするとこんな感じです。文字が浮いて見えたのはプラスチックにある程度の厚みがあったためだと思われます。
結果、この時計の裏蓋に書かれていた「FINE GOLD 999.9」の文字は、文字盤中央のパーツに使われていた金箔のことを指していたということが分かりました。
金としての価値と品物としての価値
前述したとおり、金の価値はその純度と重さで決まります。
以前ご紹介したコインウォッチは分解してみたら中に薄くスライスされたコインが入っていて、本来の7.7g以下の2.2gしか重さがありませんでした。しかし今回はその上をいく、軽すぎてスケールでは重さが量れないという状態です。
調べてみると通常の金箔の厚みは約0.1ミクロン(1万分の1ミリ)ということなので、そこから考えてもグラムで金の値段をつけるのはかなり難しいです。
そのためこのような製品の場合、お買取りでは”金としての価値”ではなく”品物としての価値”で買取金額が決まります。品物としての価値は、どこのブランドやメーカーの製品なのか、使用感はどの程度なのか、動いているのかなどによってそれぞれ変わってきます。
今回使用した時計の場合ですと、とても有名で人気の高いブランドの製品ではなく、ベルトも無い動いていないジャンク品ということで残念ながらお買取りは100円~300円程度になります。
スタッフコメント
10月末に金の相場はこれまで以上に超高騰し、2024年10月31日には小売価格で純金1グラムあたり15162円と、史上最高値を記録しました。ですがアメリカ大統領選挙を経て現在はかなり不安定かつ下がり傾向に転じています。
それでもニュースでは金の相場が上がっていることが報道されていたので、「今のうちに持っている金を売ろう!」と思われる方がいれば、「これからもっと高騰するかもしれないから、今のうちに金を買おう!」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
その時に注意しなければならないのは、今回紹介したような”金が使われている製品”の中には”金としての価値”が低いものがあるということです。「とりあえず金が使われているもので比較的安価なものを買おう」となるのは危険ということですね。
資産やいつか売却するものとして金を購入するなら、純金製のインゴットや喜平のアクセサリー類が最も良いと思われます。ですがこれらは今現在、相場高騰の影響を受けて販売価格も非常に高くなっているため、まとまった重量のものを購入するのはなかなか難しいです。
それでもいつか売却する時に「失敗した!」とならないように、購入する品物はしっかりとお調べしてから検討されることをおすすめします。
おまけ①
ところでこのパーツには金色以外に気になるポイントがありますよね。
12時部分に据えられている透明な2つの石です。
実はこの時計、裏蓋にはブランド名などと一緒に「DIAMOND(ダイヤモンド)」という刻印がありました。
査定ポイント的には、仮にダイヤモンドだったとしてもサイズが小さすぎて単品でお値段をつけるのは難しいのですが、せっかくここまで分解したので、こちらも専用の機械を使ってダイヤモンドか確かめてみましょう。
使用するのはダイヤモンドテスターという、石の熱伝導率を測定して対象の石がダイヤモンドやそれとも違う石なのかを判定してくれる機械です。ダイヤモンドは熱伝導率が高いという特性を持っているため、その性質を利用して判別します。早速機械をセットして検査してみます。
ダイヤモンドであれば、見本のように機械の上にある緑のライトが光るはずなのですが……なかなかそこまで光ってくれません…!
人を変え、角度を変え、何度かチャレンジしてみましたが全敗してしまいました。ルーペで拡大して見た感じではおそらくダイヤモンドで間違いないだろうと思ったのですが、もともと直径1mm程度のメレダイヤなので小さすぎて機械でも正確な判断が難しいということなのでしょうか(´;ω;`)
すべての製品がこのような結果になるわけではないと思いますが、今回は残念な結果となってしまいました。
おまけ②
今回金箔について触れたので、金箔のお買取りについても少しご案内いたします。
結論、金箔はそれだけの状態ではお買取りはとても難しいです!
私たち買取店がお買取りした貴金属製品は、その多くが地金を取り扱う業者の元へ行き、炉に入れて溶かすことでまた新しい貴金属製品を作るための素材として再利用されるのです。
ですが非常に薄くて非常に軽い金箔は、なんと炉に入れると溶けて消えてしまうそうです。
そのため再利用することができない品物として、お買取りの値段をつけるのも難しいということになります。
当店にもよくお査定で、お土産で見かけるような小さな小瓶に金箔がいくらか入っているキーホルダーやストラップ、金箔が貼られているテレホンカードをお持ちいただくことがありますが、残念ながらよくて”雑貨”としての取り扱いになります。
逆に金箔が使われているものでお買取り金額がつくものは、例えば大手地金商が発行した1g表記のある純金カードや、装飾に金箔が使用されている骨董品や美術品などは”品物としての価値”があればそちらで評価させていただいてお買取り金額がつくこともあります。
⇩関連ページはこちらからどうぞ!
店舗情報
質屋・買取 かんてい局 新潟上越店
(Pawnshop Kanteikyoku niigata joetsu)
〒943-0173
新潟県上越市大字富岡539-7(GoogleMapで開く)
上越ウイングマーケットセンター内
【TEL.】 025-546-7823
【営業時間】 10:00~19:00 水曜日定休 (不定期研修・一部夏季・年末年始除く)
お品物がたくさんある方や遠方のお客様は出張買取や宅配買取もご利用いただけます。
お気軽にご相談ください!
新潟県内のかんてい局に関する情報はこちらをクリック!☜