珍しい「銭金」刻印

リング本体は金色で、ラインの柄がある幅広のシンプルなデザインです。パッと見ではゴールド製のリングに見えます。

査定スタッフも「大丈夫だろう」と思いながら、素材の品位が刻印されているはずのリングの内側を見てみたところ…

あれ？見慣れない刻印がされています！これは…漢字？？

ルーペ片手ににらめっこをして、おそらくこれは「銭金」という刻印であると当をつけました。

通常、金やプラチナといった貴金属で作られたジュエリーには、パッと見では分かりずらい場所に小さく素材の品位(純度)を示す刻印がされています。

例えば「K18」や「750」「Pt900」などの刻印です。また刻印の表記はジュエリーを製造した国ヤメーカーによって変わる場合があり、例えば「K18」と「750」はどちらも金の含有量が75%であることを意味しているのですが、日本で製造されたものには「K18」の表記が主に用いられますが、イタリアなどでは純度を1000分率で表す「750」表記のものが多くあります。

他にも以前にご紹介した中国の「足金刻印」や、有名なブランド「ジュエリーマキ」さんが独自に生み出した素材を示す「PWG9」という刻印など、世界には様々な種類の刻印があります。

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リングの状態

さて、今回お持ちいただいたリングの刻印をもう一度よく見てみます。

リングの内側にブランドマークらしき四角い刻印と、その隣に長方形の彫りの中に「銭金」の文字が刻印されています。

日本で「銭金」という言葉はなかなか聞きませんが、漢字の刻印であることからおそらく日本か中国の刻印であることは予想できます。

調べてみたところ「銭金」という刻印は中国で使用されている金の刻印で、「チャン金」や「アジア金」とも呼ばれているものであることが分かりました。

金としての純度はおおよそK20(約83.5%)程度とされているものの、【確実性はない】とされていました。

なぜ、ある程度の純度を絞り込めているのに【確実性はない】と曖昧な表現になっているのかというと、中国系の金製品の中には実際の純度が刻印が示す値を満たさないものもあるためです。これは有名な「足金」のものでも言えることで、一般的に「足金」刻印のものはK20程度の純度とされていますが、実際に検査したらK18程度しかなかった、ということが実際にありました。そのため、こちらのリングは刻印を確認しただけではお買取りできないお品物ということになります。

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店頭で検査

お品物について少し分かったので、続いてこのリングがゴールド製なのかを比重計を使って確認します。

比重計とは、金やプラチナなどの貴金属の比重値を測定する機械です。

比重計の中に注がれた水の中に金やプラチナ製と思われるジュエリーを入れて測定すると、その場でそのジュエリーの素材が金もしくはプラチナなのかがある程度分かる優れものです。

早速リングを比重計で検査してみると…結果は「K14」。なんとK18にも満たないと判定されたのです。

比重計はある程度の純度まで推定することはできますが、簡易検査であるため結果は必ずしも絶対ではありません。しかも「中国系の刻印は純度が曖昧である」ということを大前提に考えると、これではあまりにも情報が不確定すぎて査定額をつけるのが難しいです。

そのため今回はお客様に比重計での検査結果をお伝えしたのち、一つご提案させていただきました。

それは、一旦お品物をお預かりして地金を扱う専門業者でしっかりとした検査をしてもらう、というものです。

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専門的な検査

専門業者ではX線を用いた、より精密な検査をします。

検査の結果、こちらのリングはK20製であることが分かりました！

正確にリングの素材がK20であることが分かりましたので、もちろん査定金額はK20の相場で提示させていただき、無事お買取り成立となりました。

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