金が埋め込まれている時計「コインウォッチ」

こちらの時計は通称「コインウォッチ(Coin Watch)」と呼ばれている、その名の通り文字盤に金のコインが埋め込まれている、とっても高級感あるお時計です。

そして今回のコインウォッチに使用されているコインはメイプルリーフ金貨。

メイプルリーフ金貨(メープルリーフ金貨 英語：Canadian Gold Maple Leaf フランス語：Feuille d’érable en or)とは、カナダ王室造幣局で発行された地金型金貨で、表面に描かれている1枚のメイプルリーフ(カエデの葉)が特徴的です。

その品位は最も純度の高い99.99%――つまり純金(K24)です。

次に、メイプルリーフ金貨にはいくつかサイズで種類がありますが、今回時計に埋め込まれていた金貨は1/4ozのものでした。

この「oz」とは、金やプラチナといった貴金属に用いられる単位である「トロイオンス(troy ounce)」の俗称で、私たちは普段「オンス」と読んでいます。

1ozは31.1034768gなので、その1/4は約7.7g。

ということは、今回この時計を分解したら約7.7gくらいの金貨が出てくるはずだ、と予測できますね。

インゴットウォッチの記事でご紹介していたように、文字盤中心に時計の針を設置するための穴が空いていますが、ごく小さなものなのでそんなに大きく重さは減らないはず…と期待しながら次の作業に移ってみましょう。

※ちなみに蛇足ですが、この「oz」は貴金属にのみ用いられる単位であり、通常の重量単位である「常用オンス(avoirdupois ounce)」とは別物となります。1常用オンスは28.439523125gとトロイオンスと全く違う重量となりますので注意です。

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早速分解してみます

こちらの時計は始めから壊れてしまっていたので、ベルト、裏蓋、ケース、風防と各パーツをサクサク取り外していきます。

そうしてまずは手元に文字盤のパーツだけが残るようにします。

この時点でなんだかコインがとても薄いことに気づいたのですが…それは一旦置いておいて。続けてインデックス用のストーンと機械部分を固定しているプラスチックパーツを外します。

外したものをひっくり返すと、コインの裏面にテープで機械部分が貼り付けてあったので、裏面の機械本体と表面の時針分針パーツを気をつけながら取り外します。

簡単には外れないようにしっかりと留めてあったので、少し取り外すのが難しかったですが、なんとかすべてのパーツを取り外し、そうしてコインだけの状態になったものがこちらです。

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取り出したコインの状態と重さ

では取り出したコインの状態を一つひとつ確認していきます。

まずご覧のように、コインの中心に針の軸を通すための穴が空いてしまっています。インゴットウォッチの時と同じですね。

続いて厚さですが…

やはり薄くスライスされていて、本来裏面にあるはずの絵柄がキレイに無くなっていました。

スケールで厚みを測ってみたところ、本来なら1.7mmある厚さはわずか0.5mmしかありません。目視で薄いなぁという印象はありましたが、半分以下とは衝撃です。

最後に量りに乗せてみます。

結果は2.2gしかありませんでした！厚さ同様、元の7.7gの半分もありません。

厚さがスライスされていることが分かった時点である程度覚悟はしていましたが、まさかここまで軽くされていたとは…驚きでした。

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金としての価値と品物としての価値

前回のインゴットウォッチ同様、こちらの時計に使われている金はデザインが1/4oz金貨であるというだけで、実際にはそれ以下の2.2gしかないということが判明しました。

もちろん、世の中にはさまざまなデザインのインゴットウォッチやコインウォッチがありますので、その中にはもっと重量のある状態のインゴットやコインを使用しているものもあるかもしれません。

ですが今回の結果を踏まえて、このような時計には必ずしも表面に見えている情報そのままのインゴットやコインが埋め込まれているわけではないということが分かりました。

そうなってしまうと、こちらの時計に金として正確な価値をつけるのは難しいです。

その場合重要となるのは、「コインウォッチ」としての中古市場での価値です。

かんてい局上越店では金としての価値だけでなく、品物としての価値もしっかりと調べて、より高い方でお買取りさせていただきます。

コインの種類や時計自体のデザインによっては、金としての価値以上がつくものもありますので、ご着用の予定がない場合はぜひお気軽に当店へお持ちください！

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