【腕時計の基本】機械式時計の調速機構~緩急針とフリースプラングとは?~ 質屋かんてい局上尾駅前店
こんにちは!
かんてい局上尾駅前店スタッフです!
本日は時計の調速機である「緩急針」と「フリースプラング」について解説いたします!
脱進機についてはコチラをご覧ください!
調速機とは?
「脱進機」と「調速機」は機械式時計の時間の進みや遅れを調整したり、一定の速度で動作し続けたりする機構です。
調速機は時間の遅れや進みを調整する心臓部ともいうべき機構で、振り子の役割を果たす「テンプ」の周期を調整するのが
「緩急針」や「フリースプラング」です。
緩急針とは?
緩急針はヒゲゼンマイの長さを規制することで時間の進みや遅れを調整する機構です。
ヒゲゼンマイの稼働する長さを短くすると進み、長くすると遅れに調整できます。
調整幅が大きく様々な症状に対応出来ますが、繊細な微調整が必要な場合はオーバーホールが必要になります。
エクタロン
エボーシュメーカーETAが開発した緩急針で、最も普及している機構です。
偏心ネジを回すことで調整が可能で、設計の柔軟性や調整のしやすさなどの利点がありますが、
長期的な安定性に欠けるといわれています。
トリオビス
IWCやジャガールクルトで用いられてきた歴史ある機構です。
ヒゲ持ちの横に取り付けられた微調整ネジを回すことで、精度を調整できます。
緩急針の中でも随一の調整性能があります。
スワンネック
その名の通り、白鳥の首にような曲線美を持つ機構です。
その美しさからクラシカルな高級機種に採用される事が多く、主にランゲ&ゾーネやブレゲといった
雲上ブランドで採用されています。
フリースプラングとは?
緩急針はテンプ受けに取り付けられている機構ですが、フリースプラングはテンワに付いている補正ネジを回し
テンワの慣性モーメントを調整する機構です。
緩急針よりも後発の機構で2000年代に入ってから普及しはじめ、主に高級機種や自社ムーブメントに採用されています。
メンテナンスの難易度が高く、調整には卓越した技術が必要になります。
マイクロステラナット
ロレックスが開発した機構で、マイクロステラナットという小さなネジがテンワの内側に4つ付いています。
ネジを内側によりに回すと進み、テンワよりに回すと遅れるよう調整が出来ます。
パーツひとつひとつの工作精度が高まった現代ではシンプルな機構でもしっかりと調整が行えるため
マイクロステラナットはロレックス以外でも採用されることが多くなりました。
ジャイロマックス
パテック・フィリップが1949年に開発した機構で、現在も採用されています。
前述の通りフリースプラングの普及自体が2000年代以降であることからもジャイロマックスの先見性が伺えます。
テンワに取り付けられた8個の重りを動かすことによって精度の微調整が可能です。
調整には極めて高度な技術が必要になります。
調整幅が広くない代わりに抜群の安定感がある機構です。
マスロット
テンワの上部外周に取り付けられているC型のリングをねじることでテンワの慣性モーメントを増減させる機構です。
メリットとデメリットの比較
緩急針
【メリット】
調整の範囲が広い
調整が容易
製造コストが低い
【デメリット】
長期的な精度の維持が難しい
緩急針との摩擦によりヒゲゼンマイが傷む
衝撃に弱い
フリースプラング
【メリット】
高い精度を安定して保てる
ヒゲゼンマイの耐久性が向上
微調整が可能
【デメリット】
製造コストが高い
調整範囲が狭い
調整に特殊な工具と技術が必要
以上が比較となります。
どちらも一長一短で優劣は付けられませんが、時代の趨勢はフリースプラングに流れているといえます。
ぜひ一度ご来店下さい!
店舗情報
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