お知らせ

誕生日やクリスマスのプレゼントに中古品はダメ?新品・中古の違いと共に解説します。

この記事では、質屋の現役鑑定士の視点から、中古品のプレゼントの是非について考えてみたいと思います。

新品・中古はそもそも何が違う?

古物業界に従事する人間の間では、品物のコンディションについて、新品・未使用品・中古品の3つに分類して考えています。

■新品

メーカーや、それを取り扱う業者・小売店が、販売の為に所持している商品

 

■未使用品

新品を取り扱うメーカーや業者から、一般ユーザーが購入したものの、何らかの理由で返品やキャンセル、または使用する機会がなくそのまま買取店や質屋に持ち込まれた”未使用”の商品

 

■中古品

一度でも使用された形跡がある商品。

新品・未使用・中古の定義は曖昧

上記で説明をした、新品・未使用品・中古品の定義は、実は結構曖昧です。
例えば、多くのリサイクルショップでは小売店や業者が仕入れすぎてしまって売れない大量在庫(デッドストック品)を買取し再販ています。これらの品物は、リサイクルショップの店頭に並ぶまでに一度も一般ユーザーの手にはわたっていない為、新品なのか、リサイクルショップに並んだ時点で中古の未使用品になるのか、明確な線引きはありません。

また、買取店に持ち込まれたスニーカーの底に汚れや使用した形跡が無ければ、”未使用品”として買取・販売を行いますが、その靴は、購入後に箱から取り出して飾っていたかもしれませんし、新品として靴屋さんに並んでいるときに、来店した客が試着をしているかもしれません。

このように食品や消耗品のような完全に密封して販売されいる商品を除いては、新品なのか中古品なのかの定義は、購入者のとらえ方によっても変わってきます。

新品として流通するダイヤモンドも実は殆どが中古品?

先ほどは、新品・未使用・中古の定義は曖昧だというお話をしました。
ここで一つ、興味深いエピソードがあるのでお伝えします。

大切な方への贈り物として定評のあるダイヤモンド。宝石店で購入すれば、当然新品だろうと思われるかもしれませんが、実は日本国内で流通するダイヤモンドの多くは中古ダイヤモンドです。

ダイヤモンドは日本に輸入された総量よりも製品として販売されている総量の方が多いといわれています。
何が言いたいかというと、一度製品になったダイヤモンドはその役目を終えた後に、また別の製品として生まれ変わっているということです。

多くのジュエリーショップや工房では、製品を作るにあたり、問屋からダイヤモンドを購入していますが、その問屋は、産出されたてのダイヤモンドだけを取引されている訳ではありません。
我々のような質屋や買取店で買取をしたダイヤモンドの一部も、素材として、ダイヤモンド問屋に流れています。

ご存じの方も多いかとは思いますが、ダイヤモンドは人気の高さに対して流通量に限りがあり、品物が不要になる度に廃棄をしていては、原石が不足してしまいます。
また、ダイヤモンドは世界で2番目に堅い物質であり、通常使用でキズが入ることは殆どありません。仮にこの中古ダイヤモンドを専門の鑑定機関に出したとしても中古か新品かの判別は不可能な場合が殆どでしょう。
そんな状況や、ダイヤモンドの性質も関係し、中古か新品かは気にしないというのが業界の考え方です。

同様に、アクセサリーに使用される金やプラチナなどの貴金属も産出量に限りがある為、中古として買取に出された後に溶かされて素材に戻り、また新たなアクセサリーとして命を吹き込まれます。

例えダイヤモンドが一度流通していたものであったとしても、その永遠の輝きに代わりはありませんし、職人がそのアクセサリーにピッタリのダイヤモンドを当てがって厳選された石であることに変わりはありません。
お手元のダイヤモンドが新品なのか中古なのかを考えるのは野暮なのかもしれませんね。

プレゼントに中古品はダメ?

話がそれましたが、ここから本題の中古品をプレゼントに選ぶことの是非について考えていきたいと思います。
プレゼントに中古品を送る事については賛否両論があると思いますが、答えはないと考えています。
そもそも、プレゼントの目的はなんでしょうか?多くは、相手に気持ちを伝えたい、相手に喜んでほしいという気持ちが大前提だと思います。
つまり、喜んでさえもらえれば、新品であっても中古品であっても、プレゼントは大成功です。

しかし、こちらのページをご覧になっている方の多くは、プレゼントを新品にするか中古にするか悩まれている方方だと思いますので考え方のいくつかの要素をご提供させていただきます。

中古品プレゼントのメリット

新品では手に入らないレア商品や1点物がある

これは、私が中古品を愛する理由の一つでもありますが、中古品の中にはすでに廃盤となり新品では手に入らない商品や、世界に一つしかない1点物の商品が存在します。もし、相手に気に入ってもらえるレア商品や1点物を知っているなら、きっと大喜びしてもらえるでしょう。

同じ金額でより多くの品物や質の高い品物を送れる

考え方は人それぞれですが、品物の量や質にこだわるコスパ重視のお相手であれば、きっと中古品のプレゼントも喜んでもらるはずです。

中古品プレゼントのデメリット

相手の考え方によっては敬遠されてしまう

中古品には上記のようなメリットもありますが、抵抗感のある方も一定数いらっしゃいます。新品を買ってくれたという気持ちを重視するお相手であれば、新品を購入してあげた方が喜ばれるでしょう。

綺麗にラッピングするのが大変

購入される店舗によりますが、リサイクルショップやインターネットで中古品を購入されるようであれば、プレゼント用にラッピングをする必要があります。

 

親密な関係でない場合は中古品は避けるのが無難

相手が、中古のプレゼントを喜んでくれるかどうかは、相手の人となりを深く知らなくては判断が難しいかと思います。
私自身も、買取専門店、質屋、総合リユースショップと様々な古物店で勤務をし、中古品への抵抗は一切ありませんが、
家電は新製品が良く出るので新品でもらった方が嬉しいですし、古酒やヴィンテージ雑貨など中古だからこその魅力がある商品もあります。
相手の考えていることが手に取るようにわかる関係でない限りは、新品を送っておいた方が無難かもしれません。

子供へのプレゼントは中古品でもOK?

お子様へのプレゼントについても、どうしたら、その子に喜んでもらえるかが大前提になってくると思います。
私の両親はリサイクルショップが好きで子供時代よく連れて行ってくれていたので、私が幼い頃であれば、新品のゲーム機を一台買ってもらえるよりも、中古のゲーム機と沢山のゲームソフトをもらった方が嬉しく感じたと思います。しかし、友達の間では、最新のゲーム機が流行っていたりもする訳です。何が嬉しいのかはお子様の育った環境や価値観によって全然変わってくるかと思います。

結論 相手の気持ちを尊重するのが一番

いかがでしたでしょうか?古物業界に携わる身としては、新品・中古品は些細な問題ではなく、送る方気持ち次第だと考えています。
その”気持ち”は自分の考えで判断するのではなく、相手がどのようなプレゼントだったら喜んでくれるかを考える気持ちであり、相手を尊重する姿勢こそが、プレゼントを喜んでもらえる秘訣なのではないでしょうか。